不動産投資に興味を持ち始めると、「不動産投資をして〇万円損をした」「こんなはずではなかった…」といった失敗した人の声が聞こえてくることや、情報を目にすることがあります。中には、失敗した人の体験談を聞いて、投資を始めるのが怖くなってしまったという人もいるかもしれません。
100%成功する投資は存在せず、絶対に失敗しない方法もありませんが、不動産投資の失敗には共通点が多くあるため、失敗する原因を理解して対策を講じることで大きな失敗を回避することは十分可能です。
よくある失敗事例から学び、不動産投資の成功確率を高めましょう。
ワンルームマンション投資でよくある失敗例
まずは、ワンルームマンション投資でよくある失敗例を見ていきましょう。
空室がなかなか埋まらなかった
入居者がいないことには不動産投資は成り立ちません。そのため、空室が埋まらずに自己負担ばかりが多くなってしまい、なかなか投資回収ができなかったというのが、ワンルームマンション投資で特に多い失敗例です。
需要が少なく、なかなか空室が埋まらない物件を買ってしまったり、物件そのものは良くても空室を埋める力が低い管理会社に賃貸管理を依頼してしまったりすることで失敗するケースが多くあります。
家賃が大幅に値下がりしてしまった
特に新築や築10年以内のワンルームマンションを購入した場合によくある失敗例として多いのが、保有期間中に家賃大幅に値下がりしてしまい、想定した家賃収入が得られなくなってしまったという失敗事例です。
そもそも、新築や築10年以内のマンションは家賃下落リスクが高く、新築から築10年で家賃が10%下落するというデータもあります。新築時の家賃が高めに設定してあり、最初の入退去で家賃を下げなければいけなくなることも珍しくありません。
また、新築・中古問わず、空室の状態の物件を購入するケースでは、シミュレーションの想定家賃が周辺相場よりも高かったことが理由で、実際には大幅に値下げしないと入居付けができなかったという失敗事例もあります。
想定以上の修繕費がかかってしまった
入退去の際の原状回復や設備交換などにかかる費用や稀にある大規模修繕の一時金等が想定よりも多くかかり、資金繰りが悪化してしまうというのもよくある失敗例です。
そもそも、シミュレーションに修繕費が加味されていない場合もあるため、提案された資料にきちんと修繕費などが含まれているかよく確認しましょう。
管理会社によっては、修繕にかかる費用に多額の手数料が加算されている場合や、不具合が発生したらすぐに新規交換を提案する場合もあり、それが原因で収支が悪化するケースもあります。
毎月多くの手出しが必要になった
空室の長期化や家賃下落によって、想定していたほどの収入が得られなかったり、修繕費や借入金利子、税金、管理費などの支出が想定より多くなったりすることで、大きな手出しが必要になることもあります。
資金繰りが困難になることで、不動産投資を続けられなくなり、結果的に不動産投資で大きく損をしてしまったというのは、よくある失敗事例の1つです。
想定よりも早くに売却しなければならなくなった
収支の悪化などが原因で、投資を継続できなくなり、売却に適さない時期に売ってしまったことが決定打となり、不動産投資が失敗に終わるケースもあります。
想定した時期よりも早くに売却しなければならなくなると、売却価格が残債を下回るケースも珍しくないためです。また、売却にかけられる期間が短い場合やよい金額で取引できない物件を持ってしまった場合には、相場よりも安くでしか売れない可能性が高まります。
うまく売却できなかった
『売却』という出口における失敗が、不動産投資の失敗に直結するケースもあります。
不動産を手放したいと考えた場合に、時期や物件が悪いと、希望金額で売却できない可能性が高いためです。
需要の低い地方の築古物件などは、大きく値下げしても購入希望者が現れないこともあります。また、不動産を所有していると不動産会社から自宅に送られるDMで高く売れると錯覚し、売却を進めていたが実際に売却した金額は当初の想定金額よりも200〜300万円低かったというケースもあります。
ほとんど節税できなかった
節税目的でワンルームマンションを買ったが、ほとんど節税できず、投資に失敗したと考える人もいます。
しかし、そもそも、ワンルームマンション投資は相続税の節税にはとても効果がある手段の1つですが、所得税の節税に向くものではありません。毎年何十万円も節税になるという説明を聞かれた際には、正しく申告した上での数字かどうかを計算方法についても確認しながら慎重に判断しなければなりません。
このように、目的に合った手段を選べていないことによる失敗事例もよくあります。
不動産投資と税金の関係については過去記事で解説しています。下記の記事をご覧いただければ、不動産投資で所得税の節税をするのが難しいことがご理解いただけるはずです。もし、節税できると説明されたという方は、下記の記事で説明している経費にできない費用が提案されたシミュレーションに含まれていないか確認してみてください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/keihi/
不動産投資で失敗する原因
次に、よくある失敗事例の主な原因について解説します。不動産投資で失敗する人はこの11個のいずれか、もしくは複数に該当することがほとんどです。不動産投資を始める前に、ご自身に当てはまるポイントがないかどうか確認してみてください。
勧められるがままに投資を始めてしまった
不動産投資で失敗する人で特に多いのが、営業を受けたり、友人・知人に勧められたりして、よく考えることなく不動産投資を始めたことが原因で失敗するケースです。
そもそも、あなたが成功した友人・知人と同じように投資したとしても、投資する時期や物件、個人の状況、投資する目的などが異なるため、必ずしも同じように成功できるとは限りません。
不動産投資は、自己資金を少なく始められ、自分の時間を使わずに運用していける投資方法ですが、成功するためには主体性をもって投資に取り組むことが必要不可欠です。
パートナー選びを間違った
不動産投資では、どの不動産会社から買うか、どんな不動産会社に管理を任せるかによっても成功するか否かが大きく違ってくるため、そのパートナー選びが原因で不動産投資に失敗するケースもよくあります。
残念ながら不動産業者の中には、デメリットや注意点を意図的に伏せ、耳障りの良い言葉を並べて投資勧誘する営業担当者や、売ったら終わりでアフターフォーがほとんどない業者、割高な手数料を上乗せして修繕費や広告費を請求する不動産管理会社、入居付けなど不動産投資で成功するうえで必要不可欠な能力が足りていない不動産会社など、パートナーに選んではいけない業者や担当者が存在しています。
上記のような間違ったパートナー選びをしてしまうと、成功は遠退きます。
もし選んではいけない人や会社に任せてしまっていたと気付いたら、途中からでも信頼できる別の業者に管理を変更して立て直しを図ることが大切です。過去の失敗を帳消しにすることはできませんが、適切なパートナーに変更することができれば、最悪な事態は回避できるでしょう。
不動産投資のリスクをよく理解せずに投資を始めてしまった
利回りやメリットばかりに目が行き、リスクをよく理解していなかったことが原因で失敗するケースもよくあります。
不動産投資に限らず、デメリットやリスクのない投資は存在しません。必ず事前にリスクを理解し、自身のリスク許容度の範囲内で投資する商品や方法を選択することが重要です。
需要と供給の見極めができていなかった
不動産投資で成功するためには、供給よりも高い需要が長期的に見込める物件を選ぶことが重要です。需要が低い物件や大きな人口減少が想定される地域の物件、需要を大きく上回る供給があるエリアや種類の物件を買ってしまうと、空室リスクや家賃下落リスクが高くなってしまいます。
「購入後に近隣の大学が移転してしまい、単身者向けのマンションの需要が大幅に減った」「単身者が好む地域にファミリー向けの物件を買ってしまい入居付けに苦労した」「購入後すぐにより条件の良いマンションが近隣に多く建設され、家賃下落につながった」など、需要と供給の見極めができていなかったことが原因の失敗事例は数多く存在します。
今だけでなく、20年後、30年後も需要が見込め、かつ競合物件が急増する可能性がないかという視点で物件を選ぶとよいでしょう。
明確な目的なく不動産投資を始めてしまった
目的なく不動産投資を始めてしまうと、そもそも成功・失敗の判断がつきにくく、投資計画も立てにくくなります。そのまま続ければ成功できるはずが、途中でやめてしまったことで失敗に終わるケースも存在します。
また、節税や投機目的で不動産投資を始める人にも失敗する人が多い傾向にあるため、それ以外で目的を設定することが大切です。
目的に合った物件を選べていなかった
目的と物件が合っておらず、不動産投資に失敗するケースも多くあります。
たとえば、30代の人が老後の年金収入を目的として不動産投資を始める場合、耐用年数の短い木造物件は向いていません。
まずは目的を設定し、その目的を達成するためにはどのような物件が最適かよく考えましょう。
シミュレーションが甘かった
ほとんど修繕費がかからず、ほとんど空室が発生せず、数十年間家賃がほとんど変わらない…そんな見栄えの良いシミュレーションを基に不動産投資の勧誘をされるケースも一定数存在しているようです。
「本当にシミュレーションのようにうまくいくものなのか」「リスクなど都合の悪い情報を隠されているのではないか」などと感じた場合には、費用負担が多くなった場合のシミュレーションなど、いくつかパターンを依頼してシミュレーションを比較しながら検討してみるのもよいでしょう。
ただし、修繕費がかかりにくい物件、家賃下落スピードが緩やかな物件が存在するのも事実です。提示されたシミュレーションが甘いのではと感じた場合には、リスクが低いことの根拠をきちんと説明してもらえるかどうかで判断するのも有効でしょう。
立地の悪い物件を購入してしまった
物件選びで最も重要なポイントは立地です。立地選びを間違ってしまうと、他でどんなに工夫したとしても、成功する確率は低くなってしまいます。需要が低い立地の不動産は、入居付けや売却の難易度が非常に高く、空室リスクや家賃下落リスクも高くなるためです。
安いから、利回りが高いからという理由で、立地の悪さに目をつむることは避けたほうがよいでしょう。
よい条件の融資を利用できなかった
高い金利負担は収支の悪化に直結します。表面利回りとほとんど差がないような金利でお金を借りてしまったことが原因で不動産投資に失敗する人も少なくありません。
また、よい融資条件を得られるかどうかは、一般的に個人の信用度によるとされていますが、紹介する不動産会社によっても選べる金融機関が異なります。紹介してもらう不動産業者を変えるだけで、よい融資条件の金融機関を紹介してもらえることがあるため、金利が高い、自己資金が多く必要など融資条件が悪いと感じたら、別の不動産会社に相談してみるという方法があることを覚えておきましょう。
必要以上の金利負担を避けるためには、オーバーローンなど、必要以上の金額を借りたり、長期ローンを組んだりすることはやめたほうがよいでしょう。
管理を任せた不動産会社に問題があった
入居付けが得意ではない管理会社に任せていると、物件自体はよいのになかなか入居申し込みが入らないことも少なくありません。
また、管理が杜撰な管理会社に物件の管理を任せてしまうと、杜撰な管理による入居者離れや適切なメンテナンスができず余計な費用がかかることもあります。
不動産管理会社は途中で変更することが可能ですので、気になる点がある場合には、他の業者に相談してみるとよいでしょう。
教育資金や生活防衛資金を不動産投資に使ってしまった
資金的な余裕がないことが大きな失敗の決定打となるケースもあります。
頭金を多めに入れたり、繰り上げ返済をしたりすることによって、総返済額を少なくする効果がありますが、教育資金など使うことが決まっているお金や、生活防衛資金に手を付けてはいけません。
不動産投資において、設備の交換費用や修繕費など急な出費はつきものですので、迅速に対応できる程度のお金は手元に残しておきましょう。
不動産投資で失敗しないために有効な対策
最後に、不動産投資で失敗しないために行っておきたい対策について解説します。
不動産投資をする目的を明確にする
目的が明確であれば、選ぶべき物件が明確になり、計画や戦略も立てやすくなり、成功確率が高くなります。
上記で失敗が多いと紹介した、節税や投機以外で、何のために不動産投資をするのかをよく考えましょう。
無理のない資金計画を立てる
資金的な余裕がなければ、急な修繕や入退去に対応することが難しくなります。
借入を完済するまでの期間中に、多少金利が上がったり、突発的な修繕が発生したりしても、問題なく不動産投資を続けられる無理のない資金計画を立てましょう。
子どもの進学やマイホームの購入など不動産投資以外のライフイベントにかかる費用も加味した長期的な計画を立てることが大切です。
不動産投資について勉強する
すべて他人任せで投資に成功できることは滅多にありません。
不動産業者の語るメリットだけで判断するのではなく、リスクについてもよく理解した上で不動産投資を始めることが失敗を避けるためにはとても重要です。許容できないほど大きなリスクは取らないという判断も失敗を避けるうえで欠かせません。そのためには、自身のリスク許容度を知る必要があります。
正しい判断ができるよう、積極的に不動産投資について学ぶ姿勢が、不動産投資の成功につながるでしょう。
事前に周辺相場を調べる
購入前に物件の現在家賃(もしくは想定家賃)と周辺相場に乖離がないかよく確認しましょう。
現在家賃(想定家賃)のほうが高い場合は、次の入退去で大幅に家賃が下落するリスクがあります。相場家賃を基にシミュレーションをしたうえで投資判断をすれば、投資を始めてからの想定外は予防できるはずです。
家賃相場と同様に、周辺環境や修繕費などの相場も調べておくと、なおよいでしょう。
リスクを加味したシミュレーションを基に投資判断をする
家賃下落リスクや空室リスクが低いと考えられる物件が存在し、中には保有中に家賃や資産価値が上昇する場合もありますが、シミュレーションにおいてベストな状況を前提とするのは適切ではありません。どんなにリスクが低いとされる場合にも、空室や家賃下落、修繕費を加味したシミュレーションを基に投資判断をすることが大切です。
シミュレーションは少し辛めにし、それでも資金繰りに問題ないことを確認したうえで投資を始めましょう。
長期的に高い賃貸需要が見込める立地の不動産を購入する
立地がよいというだけで、入居付けや売却の難易度も下がり、空室リスクや家賃下落リスクも低く抑えられるなど、多くのメリットが期待できます。
立地を比較検討する際には、現在だけでなく、20年後、30年後も賃貸需要が見込めるかどうかという視点を持つことが大切です。
人口減少が顕著な地域、1つの企業や大学に依存している地域、耐用年数が短い木造・軽量鉄骨造の物件などは、価格が安く、利回りが高い場合が多いですが、その分リスクも高いため、避けたほうがよいでしょう。
希少性の高い間取りの物件を選ぶ
立地などの条件が似ていても、設備や間取りによって需要に差があることも珍しくありません。
供給量よりも需要が大きく上回る希少性が高い設備や間取りの物件を選ぶことができれば、空室リスクや家賃下落リスクを大幅に軽減することができます。
特に、希少性が高いといわれているのは都心のワンルームマンションです。
都心のワンルームマンションが希少とされる理由については過去記事で解説していますので、併せてご覧ください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/column-5988/
築15年以降の中古マンションを選ぶ
新築マンションは築1年を経過し、中古扱いになると、物件価格が新築時よりも1~2割下がるのが一般です。
一方で、築15年以降の中古マンションを選べば、購入後の物件価格の下落や家賃の値下がりが少なく抑えられます。
このように、購入後に家賃や資産価値が下がりにくい物件を選ぶことで、不動産投資の成功確率を上げることができます。
中古と新築の違いについては過去記事で解説していますので、併せてご参照ください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/sintiku-tyuuko/
信頼できる人や会社の力を借りる
誰から買うか、誰に管理を任せるのかでも不動産投資の成功確率は大きく変わってきます。メリットばかりを強調する人ではなく、きちんとデメリットやリスク、失敗を回避する方法なども含めて説明してくれる人から購入し、入居付けに強く、適切な管理を行っている実績のある不動産会社に管理を任せるのが、不動産投資で成功する秘訣です。
不具合が出た場合の対応も管理会社によって異なり、管理会社選びを間違うと、余分な費用負担が発生することもあります。たとえば、設備に不具合が出た際に、少額の費用で済むところを、即交換する業者や、交換費用に多額の手数料が上乗せされているケースもあるため注意してください。
管理会社選びで大切なポイントは過去記事で解説していますので、併せてご覧ください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/tintaikanri/
必要に応じて家族と不動産投資の目的を共有しておく
家族と不動産投資の目的を共有しておくことで、防げる失敗も存在します。
たとえば、相続税対策を主目的として不動産投資をする場合に、相続人が相続直後に物件を売却してしまうと、余分な税金が発生することがあります。このように、家族にすぐに売ってはいけないことを伝えておくだけで予防できる失敗もあるため、必要に応じて家族と不動産投資について話をしておきましょう。
失敗事例から学び、不動産投資の失敗を回避しよう
不動産投資で失敗する人には多くの共通点があります。失敗の根本にある原因を知り、そうならないための対策を講じれば、よくある失敗の多くは回避できるものばかりです。先人の失敗から学び、不動産投資の成功確率を上げましょう。
ジーイークリエーションでは、今回解説した不動産投資以外にも、生命保険の見直し、NISAやiDeCo、年金対策、相続税対策など、幅広い相談を受け付けています。
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