iDeCoやNISAなどを始めたいけれど、「どの金融機関を選べば良いのかわからない」「どのような銘柄に投資したらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
本記事ではそのような方に向けて、金融機関を選ぶ際に見るべきポイントを解説します。
iDeCoやNISAにおすすめの銘柄や避けるべき銘柄も紹介するので、投資対象を選ぶ際の参考にしてください。
iDeCoとNISAの金融機関選びでチェックすべきポイントは?
iDeCoとNISAの金融機関を選ぶ際には、『手数料』と『商品ライナップ』を確認することが重要です。なぜその2つが重要なのかの理由とあわせて解説しましょう。
手数料
iDeCoとNISAの金融機関選びでは手数料が安い金融機関を選ぶことが大切です。
金融機関の手数料は、対面で取引をする金融機関よりも、ネット系の証券会社の方が安い傾向にあります。
iDeCoとNISAの手数料が安い金融機関には、SBI証券、楽天証券、松井証券などがあります。
iDeCoとNISAの金融機関選びで注意すべき手数料とは?
iDeCoで投資を行う場合にかかる手数料は主に次の7つがあります。
| 概要 | 金額 |
加入時手数料 | 個人型確定拠出年金(iDeCo)を始めるにあたり、国民年金基金連合会への加入にかかる手数料。初回の掛け金から差し引かれる。 | 2,829円/初回のみ |
運営管理手数料 | 口座管理手数料のうちiDeCo口座を開設した金融機関に支払う手数料。金融機関ごとに手数料の金額は異なる。 | 0~590円程度/月額 |
収納手数料 | 口座管理手数料のうち国民年金基金連合会に支払う手数料。金額は一律。 | 105円/月額 |
事務委託手数料 | 口座管理手数料のうち信託銀行に支払う手数料。金額は一律。 | 66円/月額 |
移管時手数料 | 企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に資金を移す場合にかかる手数料。移換された個人別管理資産から差し引かれる。 他の金融機関に移管する際にも手数料がかかる金融機関もある。 | 2,829円/初回のみ |
給付手数料 | 給付金を受け取る都度かかる手数料。 | 440円/都度 |
還付手数料 | 加入資格がない人が支払った掛金や、掛金の上限よりも多くの掛金を拠出してしまった場合など、還付金が発生した場合にかかる手数料。 | 1,488円/都度 |
特に毎月かかる口座管理手数料は金融機関によって大きな差があり、条件付きで手数料が安くなる金融機関もあります。この手数料は無料であることに越したことはない手数料のため、無条件で運営管理手数料がかからない金融機関を選ぶとよいでしょう。
また給付を受けるごとに440円の給付手数料がかかります。分割する回数分の手数料がかかるため、iDeCoで積み立てた資金を年金形式で受け取ろうと考えている人は、分割で受け取ることで余分にかかる手数料を考慮して受け取り方を再検討した方がよいでしょう。
NISAで投資を行う場合、iDeCoのような加入時手数料や口座管理手数料はかかりませんが、投資する銘柄を選ぶうえで、特に以下の3つの手数料に注意が必要です。
| 概要 | 金額(目安) |
購入時手数料 | 株式や投資信託を売買する時に販売会社に支払う手数料。金融機関・取引方法・銘柄などによって異なる。 | 購入額の 0~5%程度 |
信託報酬 | 投資信託の運用や管理にかかる手数料。保有期間中かかる手数料、また銘柄によって異なる。運用会社・販売会社・信託銀行に支払う。 | 保有資産の 0.1~2.5%程度 |
信託財産留保額 | 投資信託を解約・換金する場合にかかる費用。解約時に差し引かれる。 | 解約時の基準価格の 0~0.3%程度 |
現行のつみたてNISAの対象となっている投資信託は、購入手数料無料(ノーロード)の場合がほとんどですが、一般NISAで購入できるものの中には、5%近い売買手数料がかかるものもあります。
信託報酬は、運用や管理に手間がかかっているほど高くなる傾向にあり、信託報酬が0.1%を切るインデックスファンドもあれば、2%を超えるアクティブファンドもあります。
手数料の差が運用に与える影響は?
毎月支払う手数料の差は小さくても、数十年も運用すると大きな差が生まれます。例えば、前述のiDeCoの運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶのと、毎月440円かかる金融機関を選ぶのとでは、10年で52,800円、30年間で158,400円もの差が生じる計算です。
商品ラインナップ
iDeCoやNISAの金融機関を選ぶ際には、商品ラインナップが豊富で、買いたい銘柄を取り扱っているかどうかを事前に確認しておきましょう。特に、実店舗のある証券会社や銀行の中には、投資できる商品の数が極めて少ない金融機関も多くあるため注意が必要です。
iDeCoの商品ラインナップが多い金融機関にはSBI証券(38本)、楽天証券(32本)、松井証券(40本)などが挙げられます。つみたてNISAの商品ライナップが豊富な金融機関も、SBI証券(205本)、楽天証券(196本)、松井証券(199本)、auカブコム証券(200本)、マネックス証券(177本)…ネット系の大手証券会社が上位を占めています。
iDeCoやNISAにおすすめな銘柄とは?
金融機関ごとの商品ラインナップを比較する際には、以下のような投資信託の取り扱いがあるかチェックしておくのがおすすめです。
手数料が安いインデックスファンド
手数料は金融機関によって異なるだけではなく、投資する銘柄によっても大きく異なります。
iDeCoやNSIAで長期的に投資信託やETFの積立投資を行う場合、購入時と解約時の手数料が無料かつ、信託報酬の低いものを選ぶのがよいとされています。
投資信託は市場平均や指数を上回る高い収益率を目指してプロのファンドマネージャーが銘柄を選定し運用を行うアクティブファンドと、日経平均やS&P500などの指数に連動した成果を目指すインデックスファンドの2種類に大別されます。人の介在が少ない分、アクティブファンドよりもインデックスファンドの方が、大幅に手数料が安い傾向にあります。しかし、手数料が安いからといって、運用実績が悪いというわけではなく、運用実績でアクティブファンドを上回るインデックスファンドも珍しくありません。
複利の効果が期待できる銘柄
長期的な投資において効率的に運用するには、複利の効果を無視することはできません。
例えば、非課税口座で毎月2万円ずつ20年間積み立て、年利3%で運用できた場合、元金480万円に対して受け取れる利息は、単利の場合で144万6,000円、複利の場合で168万4,345円となります。
複利の効果を得るためには、分配金がなく、中長期的に基準価格が上がっている銘柄を選ぶとよいでしょう。なお基準価格とは、投資信託1口あたりの金額(時価)のことで、「銘柄名+基準金額」で検索すれば証券会社のHPなどで確認することができます。
純資産総額が大きいファンド
純資産総額とはファンドの規模を意味するため、前述のインデックス系のファンドの中でも、特に純資産総額の大きいものを選ぶのがおすすめです。
投資信託の純資産額は、投資信託を販売する際に交付が義務付けられている『交付目論見書』で確認できるほか、「投資信託 純資産総額 ランキング」などと検索することによって簡単に知ることもできます。
iDeCoやNISAで避けるべき銘柄とは?
長期投資に向かないためiDeCoやNISAの投資対象として適切ではない銘柄もあります。特に次に挙げる特徴のあるファンドに、iDeCoやNISAで投資するのは避けた方が良いでしょう。
手数料以上の運用益が期待できない銘柄
節税目的でiDeCoを行い、運用リスクを避けるために定期預金を選択するケースもありますが、節税効果を加味しなければ確実にマイナスになってしまうため、手数料以上の運用益が期待できない銘柄を選ぶのは避けた方がよいでしょう。
また、定期預金と同様にリスクが低い分利回りも低くなりやすい債券系のファンドや、債券の比重が多いバランス型のファンドなども運用益よりも手数料の方が高くなりやすい傾向にあります。
手数料以上の運用益を出すためには、ある程度のリスクを取ることは不可欠です。リスクを軽減するために債券系のファンドをポートフォリオに組み込む場合は、株式系のファンドなどと組み合わせるとよいでしょう。
ターゲットイヤー型のファンド
ターゲットイヤー型のファンドとは、あらかじめ目標とする年(ターゲットイヤー)を設定して、ターゲットイヤーに近付くにつれて債券の割合を増やすなど、自動的に資産配分を調整する投資信託の一種です。将来の予測はプロでも難しく、手数料も比較的高い傾向にあるため、ターゲットイヤー型のようなあらかじめ出口が決まっているファンドへの投資は避けた方がよいでしょう。
テーマ型のファンド
テーマ型のファンドとは、特定のテーマに関連した銘柄に投資する株式投資信託です。
例えば最近ではAI関連の銘柄が流行っていますが、20~30年後も今と同じように好調かはわかりません。そのように、流行り廃りがあり、今良くても数十年後も好調とは限らないため、長期投資を行う上では避けた方がよいといわれています。
ブル・ベア型のファンド
ブル型のファンドは上昇相場で、ベア型のファンドは下落相場で大きな利益を出すのが特徴です。レバレッジをきかせることで、指数の値動きに対して数倍の利益を狙うものもあります。その分、ブル・ベア型のファンドは値動きが激しいため、iDeCoやNISAで投資するのは避けた方がよいとされています。
特に下落相場で利益を生むインバース型(ベア型)のファンドは長期保有すると、複利の効果で損失が拡大するリスクが高くなるため、長期投資には向きません。
おすすめの金融機関3選
手数料が安く、商品ラインナップが豊富なおすすめの金融機関を3つ紹介します。それぞれの金融機関の特徴を理解して、自分に合った金融機関を選びましょう。
SBI証券
SBI証券は手数料が低く、信託報酬が低い投資信託を数多く扱っている金融機関です。
特に『eMAXIS Slim』シリーズが人気で、外国株式に投資する場合は、業界最安水準の買付手数料と業界最多水準の銘柄数を誇るSBI証券がおすすめです。
SBI証券の魅力は手数料の安さだけではなく、2005年にiDeCoの取り扱いを開始するなど、15年を超える実績がある点や、クレカ積立を行う場合の高いポイント還元率なども挙げられます。
その結果、業界最多のiDeCo・NISAの加入者数を誇り、2023年9月には国内初となる証券総合口座1,100万口座を達成しています。
楽天証券
楽天証券もSBI証券に次ぐシェアを誇り、手数料の安さや豊富な商品ラインナップで人気のネット証券会社です。2021年のNISA・iDeCo新規口座開設数が業界最多だったなど、近年シェアを伸ばしています。
特に低コストで手軽に分散投資ができる『楽天・バンガード・ファンド』シリーズが人気で、楽天経済圏の強みを最大限に生かした各種サービスを展開しています。
楽天証券では、投資によって楽天ポイントが貯まるだけでなく、楽天ポイントを使って投資をすることもできるため、楽天市場などでよく買い物をする人など、楽天ポイントを貯めている人におすすめの金融機関といえるでしょう。
松井証券
松井証券も前述のSBI証券、楽天証券と同様に、手数料が安く、商品ラインナップが充実しているネット系証券会社の1つです。
特筆すべきは、SBI証券で人気の『eMAXIS Slim』シリーズ、楽天証券で人気の『楽天・バンガード・ファンド』シリーズの両方を取り扱っている点です。それら両方に投資したい人は、松井証券を検討してみるとよいでしょう。
ただし、松井証券でiDeCoを始めた場合、他の金融機関に移管する場合に4,400円の手数料がかかるというデメリットがあることを理解しておきましょう。
iDeCoとNISAに関するよくある質問
最後にiDeCoとNISAに関するよくある質問に回答します。
iDeCoとNISA金融機関は同じにした方が良い?
iDeCoとNISAの金融機関はまとめた方が、管理などが楽になる、ポイントを貯めやすいといったメリットがありますが、買いたい銘柄が別の金融機関にしかない場合は、無理にまとめる必要はありません。前述のSBI証券と楽天証券であれば、手数料に大きな差は見られないため、それぞれの商品ラインナップや使い勝手を比較して選ぶとよいでしょう。
iDeCoとNISA金融機関は後から変更できる?
iDeCoとNISAの金融機関を後から変更することは可能です。
ただし、金融機関の変更には時間がかかり、運用中の商品をそのまま新しい金融機関に移すことはできません。また、iDeCoの金融機関を変更する場合は移管手数料がかかることがあるため注意してください。
iDeCoとNISAはどちらから始めるべき?
iDeCoとNISAのどちらから始めるべきかは、資産形成の目的によって異なります。
節税しながら老後資金を貯めたい人にはiDeCoが、教育資金など60歳より前に必要になる可能性が高いお金を運用するならNISAがおすすめです。
iDeCoは月額5,000円~、NISAは100円~と少額で投資を始めることができるため、余裕資金の中で、まずは少額からチャレンジしてみるとよいでしょう。
長期投資に向いているかという視点で金融機関や商品を選ぼう
iDeCoとNISAの金融機関は、主に『手数料』と『商品ラインナップ』に着目して選ぶとよいでしょう。
そして投資を始めてからも、買付時や運用時の手数料が安く、長期投資に向いているかという視点をもって銘柄を選ぶことが大切です。月に数百円程度の差が、何十万円もの差になることもあるため、よく確認をして選ぶようにしてください。
ジーイークリエーションでは、今回紹介したiDeCoやNISAと、不動産投資などを組み合わせてバランスよく資産形成することをおすすめしています。投資関連だけではなく、生命保険診断から年金対策、相続税対策など、幅広くサポートが可能です。
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