日本は自然災害が多い国のため、天災リスクが不安で不動産投資を始めるのに二の足を踏んでしまうという人もいるかもしれません。もちろん地震や火災などの自然災害に対して一定の備えをしておくことは必要不可欠ですが、心配しすぎる必要はありません。損害保険などを活用してきちんと備えていれば、ある程度リスクや損失をカバーすることができるためです。
本記事では、不動産投資をするうえでなぜ損害保険への加入が必要なのか、どのような損害保険を検討すべきなのかについて解説します。不動産投資に際して損害保険への加入を検討している人は、自分にとってどの補償が必要かどうかを判断するうえでの参考にしてください。
不動産投資で検討すべき損害保険の種類とは?
不動産投資をするうえで検討すべき損害保険は『火災保険』と『地震保険』の2種類です。
それぞれどのような損害保険なのか具体的に解説しましょう。
火災保険
火災保険とは、火災をはじめとする自然災害などで建物や家財などに受けた損害を補償するために加入する損害保険です。火災保険という名称ですが、火災だけでなく、水災や風災、雪災、落雷、水漏れ、盗難などにも備えることができます。
なお、不動産投資で金融機関の融資を利用する場合は、原則火災保険に加入する必要があります。現金で不動産を購入する場合の加入は必須ではありませんが、火災以外にも多くのリスクに備えられるため、加入しておいたほうがよいでしょう。
地震保険
地震保険は、通常の火災保険のみでは補償されない、地震が原因の火災や津波、噴火などによって建物や家財に被害が出た場合に備えて加入する損害保険の一種です。火災保険とセットで加入し、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30~50%で設定します。
なお、地震保険への加入は火災保険の場合と異なり原則任意です。
なぜ不動産投資をする際に火災保険に加入する必要があるのか?
不動産投資をするうえでなぜ火災保険に加入する必要があるのでしょうか。その理由と火災保険の補償範囲について解説します。
火災・水害・落雷・風災などの自然災害に備えるため
不動産は実物資産で、人に貸せる状態にしておかなければ家賃収入を得ることはできません。近年地震や豪雨などの自然災害も多く、天災によって自身が所有する不動産に被害が出た場合に備えて火災保険への加入が必要です。
一般的に火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災などが基本的な補償に含まれ、水災などそれ以外の補償はオプションとして付けることができます。
火災が起こった場合以外にも、たとえば、落雷によってエレベータやオートロックなど共有部の電子設備が故障した場合なども補償の対象です。
追加する補償に関しては、ハザードマップで色が付いているエリアの物件を購入する場合は水災に対する補償を追加するなど、物件ごとにリスクを見極めて、必要かどうか判断しましょう。
水漏れや孤独死などに備えるため
特約を付けることで、火災保険で水漏れや孤独死、盗難など、天災以外のリスクにも備えることもできます。
一部入居者が加入する保険によってカバーされる部分もありますが、老朽化など管理者側に責任がある場合は、入居者が加入する保険から保険金を受け取ることはできません。
すぐに修繕や対策を行うために、まとまった資金が必要になることが多くなります。水漏れは所有物件だけではなく、下の階に被害を与えてしまうケースもあるため加入を検討するとよいでしょう。
火災保険の契約をする際に検討すべき主な特約は?
火災保険にセットできる特約のうち、不動産投資をする人にとって検討する価値があるものをピックアップして紹介します。
個人賠償責任特約
個人賠償責任補償特約は、偶発的な事故で法律上の損害賠償責任を負った場合に備えてセットする特約です。
不動産投資の場合は、管理者や使用者の過失などによって、物件や他の部屋の入居者などに損害が発生した場合に備えて加入します。専有部の設備などが原因で損害が発生した場合には、オーナーが加入する火災保険でなければ補償されない場合もあるため、加入を検討するとよいでしょう。
個別で契約できる個人賠償責任保険も存在しますが、火災保険などの特約としてセットするものが一般的です。火災保険のほか、クレジットカードや自動車保険などにも付いていることが多い特約のため、知らず知らずのうちに加入しているかもしれません。重複して2つの保険やクレジットカードに個人賠償責任特約が付いていても、2倍の保険金を受け取れるわけではないため、複数で加入している場合はいずれか1つに絞るようにしましょう。
施設賠償責任特約
施設賠償責任保険特約とは、マンションの設備などが原因で、入居者などにけがを負わせたり、入居者の持ち物を壊してしまったりした場合に備えてセットする特約です。
たとえば、水道管の破裂によって入居者の家財をダメにしてしまった場合や、外壁タイルなどの落下によって、入居者や通行人などがけがをしてしまった場合に備えて加入するのが一般的です。一棟アパートのオーナーや区分マンションのオーナーで結成する管理組合が加入する火災保険に適しています。
臨時費用補償特約
臨時費用補償特約をセットしていると、損害が発生した場合に損害保険金の何割かを+αとして受け取れます。受け取った保険金の使途には特に制限がないため、受け取った保険金で必要最低限の修繕に加えてリフォームを行うといった使い方もできます。
家賃収入補償特約
家賃収入補償特約をセットしていると、大きな災害の影響により、建物の損傷が激しく、修繕やリフォームなどが必要になるために部屋を第三者に貸すことができない場合に、契約時に設定した期間中の家賃収入が補償されます。
家賃収入が入ってこない状態の中、リフォーム費用を負担しなければいけないという事態に落ちいった場合に役立つ特約です。
ただし、築年数が古く、近い将来に建て替えを検討している場合などには、この特約は必要ないでしょう。
家主費用特約
家主費用特約とは、物件内で孤独死や自殺などが起こった場合に備えて加入する特約です。
腐敗などが原因で修繕が必要になった場合や、心理的瑕疵が原因で大幅な値引きや空室期間の長期化に見舞われた場合に保険金が支払われます。
不動産投資をする際に地震保険を検討すべき理由とは?
前述のとおり、地震保険に加入するか否かは所有者の判断にゆだねられています。保険金額も火災保険の保険金額の30~50%で、全損の場合でも火災保険の保険金の半額までしか補償されません。地震による火災は火災保険の補償対象外ということは理解していても、建て直せるほどの補償がないため、加入を迷う人もいるでしょう。
地震保険に加入すべきかどうかは、もし地震が起こって所有する物件に被害が出た場合、その修繕費用をすぐに用意できるかという視点で判断するのがおすすめです。
家賃をもらって不動産を貸している限り、地震で損傷した建物や設備をそのままにしておくことを良しとする入居者はいないでしょう。もし、修繕を放置してしまうと、退去や空室期間の長期化の原因になります。そうならないためにも、迅速な修繕対応が必要不可欠なのです。
新耐震基準を満たした頑丈な鉄筋コンクリート造(RC造)の建物であれば、大きな地震が来ても倒壊する可能性は低いでしょう。実際に、過去に起こった阪神淡路大震災や東日本大震災の際も、倒壊した建物の多くが、木造もしくは1981年以前に建てられた建物でした。新耐震基準を満たした建物は、壁や柱にひびが入ったり、外壁タイルが落下したりするなどの被害は報告されていますが、主体構造そのものへの被害はほとんどなかったといいます。
そのため、頑丈な投資物件を選ぶのであれば、建物価格や再建築価格を基準とするのではなく、補修費用として必要になる数百万円程度をすぐに用意できるかという視点で地震保険に加入すべきか判断するとよいでしょう。
投資用不動産にかける損害保険に関するよくある質問
最後に、投資用不動産にかける損害保険に関するよくある質問に回答します。
入居者もオーナーも火災保険に入る必要があるのはなぜ?
入居者とは別で不動産オーナーも火災保険に加入しなければならない理由は、入居者が加入する火災保険とオーナーが加入する火災保険の補償範囲が異なるからです。
オーナーが加入する火災保険は主に建物の専有部分に生じた被害に対して、入居者は家財の被害や過失でオーナーへの賠償が発生した場合に備えて火災保険に加入します。
区分マンションの場合は、さらに管理会社(管理組合)もマンションの建物の共有部を補償対象とする火災保険に別途加入するのが一般的です。
火災保険料を安く抑える方法はある?
火災保険料を安くしたいなら、必要な補償のみに絞ることを検討しましょう。
たとえば、ハザードマップで水災リスクが低い立地の高層階の物件を買うなら水害時の補償を削るなど、自身が所有する物件に合わせて補償をカスタマイズしましょう。
そのほかにも、保険料をまとめて払う、免責金額を設定するなどの方法で火災保険料を安くすることもできます。
保険会社を変更することで保険料を安くできないかと考える人も多いでしょう。しかし、火災保険や地震保険の保険料は建物の構造や広さ、地域などによって決まるため、生命保険のように保険会社間の保険料や補償内容に大きな差はありません。
損害保険料は不動産投資の経費にできる?
投資用不動産に火災保険や地震保険をかけた場合、損害保険料として全額不動産投資の経費にすることができます。
ただし、まとめて数年分の保険料を支払ったとしても、その年の経費として計上できるのは1年分のみです。
不動産投資のリスクと対処法を理解しておこう
不動産投資にともなうリスクの中には、火災保険や地震保険で備えることができるものも多くあるため、投資を始める前に損害保険に関する理解を深めることが大切です。補償の充実は安心につながりますが、補償を充実させるほど保険料が高くなるため、必要な補償を見極めましょう。
ジーイークリエーションでは、不動産投資、iDeCo・NISA、生命保険などを組み合わせてバランスよく資産形成することをおすすめしています。今回紹介した不動産投資の際に加入する損害保険だけでなく、生命保険診断から年金対策、相続税対策など、幅広いご相談にも対応しています。
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