
生命保険に加入している方の中には、「契約してから時間が経っているので保障の見直しをしたい」「保険料の負担が重いので解約をしたい」などと考え、生命保険の解約や見直しを迷われている方もいらっしゃることでしょう。
弊社でも、さまざまな保険のご相談をいただくことがありますが、「この保険なら今すぐ解約して問題ないですよ」とお伝えすることもあれば、「○○まで待ってから解約や見直しをしたほうがいいですね」「生命保険よりも別の方法のほうが合っていそうですね」などとお伝えすることもございます。
本記事では、生命保険の解約・見直しに適したタイミング、解約すべき保険と解約しないほうがいい保険の違い、解約時の注意点、生命保険代わりになる商品について解説します。本記事を参考に、あなたにとっての最適解を見つけていただけたら幸いです。
生命保険の見直し・解約に適したタイミングとは?

まず、生命保険の見直しや解約に適したタイミングはいつなのか、確認しておきましょう。
必要保障額が大きく変化するタイミング
必要保障額とは、もし自分に万が一のことがあった場合に、遺族の生活費や教育費として必要なお金の総額から、遺族年金や配偶者の収入など遺族が受け取れる金額を差し引いた金額のことで、必要保障額から逆算して生命保険に加入するようにすると、過不足を最小限に抑えることが可能とされています。
この必要保障額は、子どもが高校に進学すると中学までの学費分の保障が不要になるように、子どもが進学・独立するタイミングで大きく減ります。
その他にも、結婚・離婚や転職・独立、マイホームの購入時などにも必要保障額に大きな変化が生じるため、そのタイミングで生命保険を見直すのがおすすめです。
加入時に解約しようと考えていたタイミング
生命保険に加入する際は、加入時点の保障内容だけでなく、将来いつ解約するのか、いつ見直すのかという出口まで想定しておくことが大切です。子どもが成人したら、独立したら解約しよう、見直そうなどと考えていた生命保険がある場合は、そのタイミングが到来した際に必ずその保険を見直すようにし、当初の想定通り不要となっていれば、忘れないうちに解約手続きを行いましょう。
解約返戻率が100%を超えるタイミング
定期保険は解約返戻金がないものがほとんどですが、終身保険や養老保険など貯蓄型の保険は解約返戻金として支払った保険料の一部が戻ってくるタイプのものが一般的です。
生命保険における解約返戻率とは、それまで支払った保険料の総額に対して何%のお金が戻ってくるのかを示す重要な数値です。つまり、解約返戻率が100%を超えるということは、支払った保険料よりも多く受け取れるということです。
そのようなタイミングは多くないので、加入時から解約返戻率が最も高くなるタイミングはいつかを確認し、そのタイミングが子どもの大学進学時期やマイホームの購入予定時期などまとまったお金が必要になる時期と重なるよう計画的に生命保険を活用するとよいでしょう。
保険料の支払いがしんどくなったタイミング
万が一のためにと無理して保険料を支払い続け、今の生活が犠牲になるのは好ましくありません。
保険料の支払いがしんどい、保険を解約してお金を作りたいと感じたら、削れるものがないか検討するとよいでしょう。
新しい生命保険や他の運用方法に切り替えるタイミング
今加入している保険よりも格段に改良された新しい保険が登場したタイミングは見直しを検討するのに適したタイミングです。生命保険だけではなく、他の運用方法に切り替えるという選択肢もあります。住宅ローンを活用して不動産投資を始めた方の中には、住宅ローンに付随する団体信用生命保険を活用して保障を拡充し、保険料の負担を軽減できた方も多くいらっしゃいます。
今すぐ見直すべき生命保険・解約したほうがいい生命保険とは?
第一段落で紹介したタイミングに関わらず、今すぐにでも見直しをしたほうがいい生命保険も存在します。もし、次に挙げるような生命保険に加入しているなら、すぐに見直しを検討されることをおすすめします。
何となく入った生命保険
明確な目的なく入った生命保険には、その人の家族構成や状況に全く合っておらず、保障に大きな過不足が生じていることが珍しくありません。
独身の人など、そもそも生命保険がほとんど必要ない人もいます。
友人や知人にすすめられて加入した生命保険や、周囲の人が加入していることを理由に何となく加入した生命保険がある場合は、現在必要としている保障とどの程度の差があるのか、一度確認してみることをおすすめします。
保障が必要なくなった生命保険
最も保障が必要なのは、子どもが小さい時期で、子どもが独立した後は、ほとんど保障が必要なくなっているケースがよくあります。
結婚したばかりの頃や子どもが小さい頃に加入してそのままになっている生命保険や、5年以上前に加入して一度も見直さずにそのままになっている生命保険がある場合には、一度その保障が現在も必要なものか確認してみましょう。
投資・貯蓄目的で加入した生命保険
生命保険による保障と、資産形成を目的とした投資・貯蓄は、それぞれの目的や特徴を理解したうえで、分けて考えることも重要です。
保障そのものではなく、投資や貯蓄を目的として生命保険に加入した場合には、5段落で紹介する生命保険以外の商品とも比較し、見直しや解約を検討したほうがよいでしょう。
主契約部分の保障が小さい生命保険
生命保険には主契約と特約が存在します。
主契約部分の保障が小さい保険は、長く加入するメリットがほとんどありません。例えば、主契約部分が10万円しかない終身保険に医療保障などが特約としてついているような保険などがそれに当たります。
色々と特約という名のオプションがたくさん付いていて、何の保険がわかりにくいものは真っ先に見直したほうがよいでしょう。
予定利率が非常に低い貯蓄型保険
予定利率が高いと、運用益が多く見込め、保険料が安くなるなど、予定利率は将来受け取れる保険金額に大きな影響を及ぼす重要な数値です。
近年金利が上昇傾向にあるため、生命保険各社が予定利率の引き上げを行っています。そのため、予定利率が非常に低い時期に加入した貯蓄型の保険は、見直したほうがいい可能性が考えられます。ただし、契約してすぐの場合、ほとんど解約返戻金が受け取れないことも珍しくなく、加入後10年近く経過した生命保険でも、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回るケースも珍しくありません。
解約することで生じる損と、新しく契約する生命保険や他の商品で得られる見込みの利益を比較したうえで、生命保険の乗り換えや保険以外の商品への切り替えを検討するとよいでしょう。
解約すると後悔する可能性がある生命保険とは?
前段落で紹介した、今すぐ見直すべき生命保険・解約したほうがいい生命保険とは逆で、できる限り解約しないほうがいい生命保険、解約するとしても最後にしたほうがいい生命保険も存在します。
解約すると後悔する可能性がある生命保険にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
お宝保険
主にバブル崩壊前に加入した生命保険の中には、お宝保険と呼ばれる、予定利率が非常に高い貯蓄型の保険が存在します。昔加入した生命保険の予定利率などが、現在販売されているものと比べて圧倒的に高いのであれば、それはお宝保険である可能性が考えられます。二度と似たような生命保険は登場しない可能性が高いため、お宝保険の解約は最後にするのがおすすめです。
今解約すると手数料や税金で損をする貯蓄型保険
一般的な貯蓄型の生命保険の場合、契約してから10年は解約控除などの手数料が差し引かれ、解約すると大きく損をするケースがよくあります。
例えば、低解約返戻金型終身保険は解約返戻率が低い時期に解約すると大きく損をするため、返戻率が高くなるまで待って解約したほうがいいケースも多いでしょう。
解約前に解約返戻率の推移と解約にかかる手数料や税金について確認したうえで解約や見直しを検討するようにしてください。
病気をする前に加入した生命保険
大きな病気をした場合、以前と同程度の保障内容の生命保険に加入することが難しくなったり、加入できたとしても、保険料が高くなったり保障内容に条件が付いたりする場合があります。大きな病気をしていなくても、年齢が理由で以前と同じような生命保険に入ることができないケースも考えられます。
保障が必要なくなったのではなく、別の保険への乗り換えを検討されている場合には、無保険期間が生じないよう、別の生命保険に加入できてから、保険料を重複して支払う期間ができる限り短くなるように調整して解約するという手順を踏んだほうがよいでしょう。
子どもが小さい頃に加入した学資保険
学資保険の場合、子どもが小さい頃に加入したもののほうが、解約返戻率が高くなるのが一般的です。子どもが成長してから似たような学資保険に加入することは難しいため、学資保険が必要な場合には、解約を待ったほうがよいでしょう。
ただし、学資保険以外の方法で運用し、子どもの進学費用を準備するという選択肢もあるため、学資保険のメリットである『保障』が必要ない場合には、他の方法で運用することも含めて見直しを検討することをおすすめします。
相続対策・相続税対策で加入した生命保険
相続を目的として加入したものであれば、本来解約しないことを前提としているため、解約を検討する優先順位は低くなるでしょう。
ただし、相続税対策でよく活用されている一時払い終身保険などの中には、解約返戻率が高く、元本が保証されている商品も多く存在します。今解約しても損をしないのであれば、一度解約して、予定利率がより高い生命保険に入りなおすことなどを検討してみてもよいでしょう。
生命保険を見直し・解約する際に、注意すべきポイントは?

次に、生命保険を解約する場合の注意点とチェックポイントを紹介します。
無保険期間が生じないよう注意する
解約して新しい保険に加入する場合、無保険期間ができないよう、原則新しい保険に加入してから解約するのがおすすめです。
がん保険などには90日程度の免責期間があることが一般的なため、がんが心配な時期に医療保険やがん保険を切り替える場合には、免責期間中は前の保険の解約を保留することも検討する必要があるでしょう。
保険料の支払いが重複しないように注意する
前述の免責期間の生じるケースは例外ですが、解約して新しい保険に加入する場合には、できる限り保険料の支払いが重複しないよう速やかに解約手続きを行う必要があります。特に損保系の保険商品や生命保険の特約の中には、重複してかけているからといって、両方から保険金を受け取ることができないものも存在しますので、できる限り無駄が生じないよう解約日と加入日を調整するようにしてください。
解約返戻金には税金がかかる場合があることに注意する
貯蓄型の生命保険を解約した場合に受け取る解約返戻金には税金がかかる場合があります。
保険料を負担した人と解約返戻金を受け取った人が同一の場合は『所得税』、異なる場合は『贈与税』の課税対象となります。
所得税の課税対象となる場合に税金がかかるのは、支払った保険料の総額よりも多くの解約返戻金を受け取った場合です。
解約返戻金を一時金で受け取った場合には、一時所得として課税されます。
一時所得の計算式は以下のとおりです。
一時所得=(解約返戻金-保険料の総額-50万円)×1/2 |
上記のように、一時所得には50万円の特別控除があるため、利益が50万円までであれば原則税金がかからない計算です。給与所得などと合算した金額(課税所得)に応じて5~45%の所得税がかかります。
解約返戻金を年金として受け取った場合には、雑所得として課税されます。
雑所得の金額は以下の計算式で求めることができます。
雑所得=その年に受け取った年金の総額-その年の年金の額に対応する保険料の掛け金 |
年金として受け取ると、一時金として受け取る場合の50万円の特別控除がないため、一時金として受け取るよりも支払う税金が多くなりやすいといわれています。
贈与税の課税対象となる場合は、下記の計算式で贈与税を計算します。
贈与税=(解約返戻金-110万円)×税率-控除額 |
贈与税が課税されるケースでは、支払った保険料が考慮されず、解約返戻金など贈与の総額から基礎控除110万円を差し引いた金額に10~55%の税金がかかります。そのため、所得税の場合と比べて税金が高額になりやすい傾向にあるため、注意が必要です。
短期解約の違約金がかかる場合があることに注意する
貯蓄型の生命保険の中には、解約時に解約返戻金から一定額が差し引かれる「解約控除」が設定されている商品があります。契約から一定期間内に解約すると、受け取れる解約返戻金が少なくなる場合があるため、契約内容を事前に確認しておきましょう。
解約控除がなくなる(少なくなる)のを待って解約したほうがいいケースも存在するため、解約前に違約金についてよく確認するようにしましょう。
解約する時期によって解約返戻率が異なる点に注意する
終身保険や養老保険など貯蓄型の保険の場合、いつ解約するかで解約返戻率(支払った保険料の何%が返ってくるか)が変わるのが一般的です。解約返戻率が低い時期に解約すると、支払った保険料の極一部しか戻ってこないこともよくあります。
できる限り解約返戻率が高くなるタイミングで解約できるよう調整するとよいでしょう。
解約以外の選択肢も存在することを理解しておく
下記の表のように、主契約の減額、特約部分のみの解約、払済保険、延長保険、契約者貸付制度など解約する以外の選択肢も存在します。
解約以外の選択肢 | 概要と注意点 |
主契約の減額 | ・死亡保障を1,000万円→500万円とするように、主契約部分の保障を減額し、保険料の負担を軽減する方法 ・一部解約したとみなされ、減額部分に付随する解約返戻金があれば、払い戻しが受けられる ・特約の保障も同時に減額される場合がある ・受け取った解約返戻金は、一時所得として課税される場合がある ・一度減額すると、後で元に戻すことはできない |
特約部分のみの解約 | ・主契約はそのまま残し、不要な特約のみを解約し、保険料の負担を軽減する方法 ・特約は一度解約すると、再度追加することが原則できない ・特約のみでの契約はできない ・解約できない特約も存在する ・他の特約も一緒に解約しなければならない場合もある |
払済保険 | ・手続き時点の解約返戻金を一時払いの保険料として、同じ種類、同じ保険期間の保険に変更する方法 ・その後の保険料の支払いが不要になる ・条件付きだが、契約内容を手続き前の状態に戻す「復旧」が可能 ・特約部分の保障はなくなる ・保険料の負担は減らしたいが、健康上の理由で新たに生命保険への加入が難しい人などにおすすめ |
延長保険 | ・手続き時点の解約返戻金をもとに、死亡保障のみの定期保険に変更する方法 ・死亡時に受け取れる金額は手続き前と同額だが、保険期間が短くなる ・特約部分の保障はなくなる ・条件付きだが、契約内容を手続き前の状態に戻す「復旧」が可能 |
契約者貸付制度 | ・生命保険の解約返戻金を担保にして、生命保険を解約することなく、保険会社からお金を借りる方法 ・借入可能額は、解約返戻金の70~90%程度 ・借入金には利息が発生する ・借入金は保険金や解約返戻金に影響を及ぼす |
これらの違いを理解し、比較検討したうえで解約が最適解なのか考えましょう。
生命保険代わりになる他の商品とは?
最後に生命保険代わりになる他の金融商品・運用方法を紹介します。
現預金
現預金があれば、生命保険に加入していなくても問題ないケースも多くあります。
例えば、独身の人や夫婦共働きで子どもがいない家庭であれば、葬儀費用程度の現預金があれば、生命保険に加入する必要性は高くないでしょう。
NISA・投資信託
保険会社に運用を任せるのではなく、自分でNISAや投資信託を活用して資産運用し、万が一の場合は運用していた資金を医療費や働けない時期の生活費の補填などに利用することも可能です。自分で運用したほうが、保険会社に支払う手数料の分だけ効率的な運用が可能で、万が一のことが起こらなくても、老後の資金などとすることができます。
NISAやiDeCoなど運用益が非課税になる制度も存在していますので、少額でも若い頃から積立投資をしておくとよいでしょう。
ただし、iDeCoは60歳まで引き出せないため、生命保険代わりには適していません。生命保険代わりとするなら、NISAがおすすめです。
投資用不動産
投資用不動産に付随する団体信用生命保険の効果で、生命保険と同程度の保障を準備することができます。近年では、がん団信や三大疾病保障付き団信など、各金融機関が特約付きの団信を充実させているため、がん保険や医療保険代わりとして活用することも可能です。中には、がんや三大疾病と診断されたら、残債がゼロになるという、一般的ながん保険や医療保険以上の保障を準備できるものも存在します。
なお、団信の保障内容は金融機関によって異なりますが、生命保険のように別途保険料を払うのではなく、元の金利に団信の保険料が含まれているものや、適用金利0.1~0.3%上乗せすることでがん団信や三大疾病保障を付けるなど、保障を拡充できるタイプの団信が一般的です。
万が一の際に団体信用生命保険の保障が適用され、ローンの返済が不要になれば、その後の家賃収入を遺族の生活費に充てられる可能性があります。
さらに、生命保険とは違って、万が一のことが起こらず、長生きした場合には、返済が終わった投資用不動産から得られる家賃収入は不足する老後の生活資金を補ってくれ、まとまった資金が必要となった場合には、売却するという選択肢も存在します。
計画的に生命保険を見直そう

生命保険には解約に適したタイミングには、必要保障額が大きく変化するタイミングや解約返戻率が100%を超えるタイミング、新しい生命保険や他の運用方法に切り替えるタイミングなどが挙げられます。
ただし、目的なく入った保険や友人や知人にすすめられるがままに加入した保険、貯蓄や投資目的で加入した生命保険など、なかにはすぐに見直しや解約を検討すべき生命保険も存在します。
必要最小限の費用負担で、十分な保障を確保できるよう、今回紹介した生命保険以外の方法などもあわせて、生命保険を見直すようにしましょう。
ジーイークリエーションでは、今回解説した生命保険以外にも、不動産投資、投資信託(NISA・iDeCo)、年金対策、相続税対策など、幅広い相談を受け付けております。
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