
昨今インフレが続いているため、様々なものの値段が高くなっていると感じていらっしゃる方も多いことでしょう。現役世代でも物価が上がり生活が苦しくなったと感じている人は多いようですが、収入を増やすことが難しい高齢者へのインフレの影響は非常に大きいといわれています。
年金だけで豊かな老後を送ることはできなくなっていることは、年々高齢者の就業率が上がり、60代後半で過半数、70代前半でも3人に1人以上が何らかの仕事をしていることや、この25年程度で70歳以降も働く人の人数が2倍に増えていることなどからも明らかでしょう。
近年どの程度物価が上昇しているのか、受け取れる年金額はいくらくらいで、必要最低限の老後生活を送るのにどの程度の不足が考えられるのか、不足を補うためにはどのような対策が有効か、順を追って解説します。
【2026年現在】インフレの影響は?

まず、昨今のインフレを受けて、物価がどの程度上がっているのか確認しておきましょう。
生活必需品の価格
2015年と2025年における東京都区部の物価を比較してみましょう。
| 2015年 | 2025年 |
うるち米(コシヒカリ5kg) | 2,285円 | 4,928円 |
食パン | 423円 | 535円 |
食用油 | 315円 | 396円 |
電気代 | 13,340円 | 14,156円 |
都市ガス代 | 5,681円 | 6,054円 |
灯油 | 1,594円 | 2,375円 |
民営家賃(3.3平米当たり) | 8,631円 | 9,803円 |
ガソリン | 136円 | 178円 |
※2015年および2025年小売物価統計調査(動向編)を基に筆者作成
上記のように生活に欠かせない商品の値段はいずれも大幅に上がっており、10年で20~50%程度価格が上がっているものが多く、米など2倍以上になっているものもあることがわかります。
10年でこれほどの差があるということは、今の現役世代が老後を迎える20年、30年後には、物価が今の2倍になっていても不思議ではないと考えられます。
老後の生活費
生命保険文化センターが毎年調査を行っている『生活保障に関する調査』によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている金額も、インフレに伴い、平均額が年々上昇しています。
2025年の調査では、最低日常生活費の平均は23.9万円で、平均額が22万円だった2013年以降、増加傾向続いています。また、2016年以降『30~40 万円未満』と回答する人の割合が増加傾向にあることもわかります。
2025年のゆとりある老後生活費は平均39.1万円で、2016年の34.9万円以降、増加傾向が続いています。
いずれの数値も10年で1割程度増えていることがわかります。
このまま物価が上昇した場合、数十年以内に、老後の生活費として最低でも40~50万円必要と回答する人が多数を占める時代が到来する可能性も十分に考えられるでしょう。
国民年金の給付額
国民年金の給付額は、マクロ経済スライドという仕組みが導入されているため、物価によって若干上下しています。
実際に2023年から3年連続で上がっていますが、月額にすると1,000円強と物価上昇をカバーできるほどではありません。
【年収別】受け取れる年金額はいくら?

前述のとおり、老後の生活に最低でも30~40万円程度は必要と考える人が多くを占めます。月額30万円程度の年金を受け取るにはどのくらいの年収が必要なのか見ていきましょう。
※それぞれの年金額は現在40歳の人が40年間保険料を納め、65歳から年金を受け取ると仮定し試算しています。
年収300万円の会社員・公務員の場合
生涯平均年収が300万円の会社員・公務員の人が65歳から受け取れる年金額は、年147万円(月額12万3,000円)で、その内訳は基礎年金が85万円、厚生年金が62万円です。
なお、年金額に応じて、税金や後期高齢者医療制度の保険料がかかるため、年金額=手取り額ではありません。老後の生活費を考えるうえで、税金や健康保険料も考慮に入れておきましょう。
2026年現在、年金収入が214万円以下であれば所得税はかからないため、収入が年金147万円のみの世帯の所得税額は0円です。住民税も65歳以上の単身者の場合、155万円(公的年金等控除110万円+基礎控除45万円)以下、夫婦のみの2人世帯かつ、配偶者の年金収入が155万円以下であれば、総収入が約211万円以下であれば、住民税非課税世帯に該当します。
また、後期高齢者医療制度の保険料についても、前年の所得が少ない場合は以下の表のように均等割部分が2割~7割減額されます。2人世帯の場合7割軽減となるのは世帯所得53万円以下、世帯所得115万円以下であれば5割軽減、167万円以下であれば2割軽減の対象となるため、世帯収入が147万円の場合には7割軽減、世帯で294万円の年金収入がある場合には、5割軽減の対象となります。
保険料の金額は市区町村によって異なりますが、東京都の場合、147万円の年金収入がある人の場合、1人当たり保険料負担は年間約5.5万円ですが、7割軽減の対象となれば年間約1.6万円まで保険料が下がる計算です。
世帯主と被保険者の前年1~12月の総所得金額の合計
7割軽減
基礎控除額(43万円)+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
5割軽減
基礎控除額(43万円)+31万円×被保険者数+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
2割軽減
基礎控除額(43万円) +57万円×被保険者数+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
世帯主と被保険者の前年1~12月の総所得金額の合計
7割軽減
基礎控除額(43万円)+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
5割軽減
基礎控除額(43万円)+31万円×被保険者数+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
2割軽減
基礎控除額(43万円) +57万円×被保険者数+10万円×(給与・年金所得者の数-1)以下
年収500万円の会社員・公務員の場合
生涯平均年収が500万円の会社員・公務員の人が65歳から受け取れる年金額は年187万円(月額15万6,000円)で、その内訳は基礎年金が85万円、厚生年金が102万円です。
この場合も年収300万円の人と同様に、年金収入が214万円以下のため所得税は0円ですが、約3万円の住民税と約9万円の保険料の負担が生じ、手取り年収は約175万円となります。
夫婦ともに年収500万円程度であれば、老後に月額約30万円の年金を確保できることがわかります。
年収800万円の会社員・公務員の場合
生涯平均年収が800万円の会社員・公務員の人が65歳から受け取れる年金額は年245万円(月額20万4,000円)で、その内訳は基礎年金が85万円、厚生年金が160万円です。
この場合は約12万円の税金と約15万円の社会保険料がかかるため、手取り年収は約218万円となります。
配偶者が年収300万円程度の会社員であれば月30万円の年金を確保できる計算です。
年収1,000万円の会社員・公務員の場合
生涯平均年収が1,000万円の会社員・公務員の人が65歳から受け取れる年金額は年273万円(月額22万8,000円)で、その内訳は基礎年金が85万円、厚生年金が188万円です。ここから、税金約16万円と社会保険料約18万円が差し引かれ、手取り年収は約239万円となります。
この場合は、専業主婦家庭であっても、夫婦で受け取れるのは月額30万円弱の年金を受け取ることができますが、年収1,000万円の家庭の場合、現役時代に生活水準が上がっていることが多いため、月額30万円では全く足りないと感じる人が多いのではないでしょうか。
自営業者の場合
自営業者は原則国民年金のみ。2026年時点、40年間保険料を払い続け満額受け取れる人で年間847,300円(月7万円弱)の年金を受け取ることができます。
国民年金はそもそも定年のない自営業者が生涯働き続けることを前提とした年金のため、国民年金の給付金のみで生活を成り立たせることは難しいと考えられます。
自営業者の場合は、現役時代の生活レベルや老後の働き方を考慮して、年金以外の収入源を確保しておく必要性が非常に高いといえるでしょう。
老後資金を目減りさせないために押さえておくべきポイントは?
インフレが起こると、年金額が減っていないのに以前と同じような生活を続けることが難しくなったり、保有する資産によってはその価値が大幅に目減りしてしまったりすることがあります。
現在のようにインフレが長期化する可能性が考えられる中、老後資金など長期的な資産形成を考えるうえで必ず押さえておきたいポイントを2つ解説します。
現預金や保険はインフレが起こると価値が目減りすることを理解する
比較的安全といわれることの多い、元本保証のある保険や現預金などの現金系資産は、インフレに弱いという特徴があり、絶対に安全な資産ではありません。
資産が現金系のものに偏っていると、ハイパーインフレなどが起こらなくても、理想的とされる年2%のインフレが40年続くだけで、その資産の価値は半分以下になってしまいます。
老後資金などを目的として、長期目線で資産形成を行う場合には、インフレが起こると現預金や保険は価値が目減りすることを想定しておくことが大切です。
インフレに強い資産を組み合わせて資産形成を考える
インフレに強い資産には、不動産系の資産や株式系の資産があります。
2026年現在、景気がとてもよいとはいい切れない中、株価も不動産価格(売買価格や家賃相場)も高騰しています。
今後も年2%程度のインフレが長く続く可能性は十分に考えられるため、長期的な資産形成を考えるうえでは、インフレに弱い現金系の資産のみではなく、不動産や株式などインフレに強い資産を取り入れて、インフレが起こっても起こらなくても総資産が目減りしないようにしておくことが大切です。
インフレ対策に有効な資産形成方法2選

最後に、インフレ対策として有効な資産形成方法を2つ紹介します。
NISA・iDeCo
株式や投資信託(株式系・不動産系)はインフレ時に価格が上昇しやすいという特徴があります。
NISAやiDeCoは利益に対して課税されず効率的な運用が可能で、老後資金を目的とした長期的な積み立て投資を行うのに向いています。
ただし金利上昇局面では債券価格が下落する傾向にあるため、債券系の投資信託・ファンドに偏ったポートフォリオにするとあまりインフレ対策になりません。株式系や不動産系の投資信託を活用してバランスよく資産形成するとよいでしょう。
不動産投資
投資用不動産など現物資産はインフレに強いという特徴があります。インフレ時には、不動産価格や家賃相場が上昇する傾向にあるためです。
バブル崩壊時のように株式や土地の価格が下落した際にも、家賃相場は比較的安定していたという事実があるため、万が一バブル崩壊やリーマンショックのようなことが再び起こったとしても株式のように暴落するリスクは高くありません。
昨今東京都心の家賃相場が高騰しているように、数十年後も賃貸需要が見込めるエリアであれば、インフレが続いた場合でも、物価の上昇に伴って家賃相場が上がり、家賃収入も増えることが期待できるでしょう。
インフレ時でも資産を目減りさせない方法で資産形成を考えよう
この数年インフレが続いており、老後の生活費として必要な金額が上昇傾向にある一方で、収入はほとんど上がっておらず、年金額は現役時代の収入を基に計算されるため、受け取れるであろう年金額と老後の生活に必要な金額の差が広がっています。その差を埋めるためには、インフレに強い資産を組み合わせて資産形成を行い、老後資金を準備する必要があります。インフレに強い資産には、NISAやiDeCo、不動産などがあるため、それらを中心として老後のための資産形成を考えるとよいでしょう。
ジーイークリエーションでは、今回解説した不動産投資や投資信託(NISA・iDeCo)以外にも、保険、年金対策、相続税対策など、幅広い相談を受け付けております。
◇下記URLより無料の個別相談をお申込みいただけます。お気軽にお申込みくださいませ。
https://www.ge-creation.co.jp/soudan_form/
不動産投資など資産形成について学びたいという方には、随時開催しているジーイークリエーションのセミナーがおすすめです。初心者向けのものや生のオーナー様の声が聴けるものなど、多様なセミナーを開催しておりますので、お気軽にご参加ください。